2005年におきたJR福知山線脱線事故以来,日本の鉄道において「安全性」が叫ばれるようになった.世間,特に「マスコミ」等はすぐに「安全性」とか「安心」というと喜ぶし,ちょっとしたミス(数メートル程度のオーバーランやATSの電源投入忘れなど)でも叩かれるようになった.
しかしながら人間生きていればミスはおこすし(たとえばこのHPを作成しているときに私がおこしたミス――たとえばタイプミス――の数は限りない),機械だって動作すればミスをおこす(誤作動する)こともままある.特にソフトウェアはよく誤動作を起こす(=バグに出くわす.特に昔のファミコンはひどかったことは皆さんご存知と思う).
ではこれら人為ミスや機械(やソフトウェア)が起こすミスを無くせば「安全」といえるのだろうか?そもそもミスを無くすことができるのだろうか?――そう考えていくと,ある結論にたどり着く.
そう,「安全性」を声高に叫ぶ「マスコミ」や「わが社はこれから安全な輸送に全力を尽くす」などと広報する鉄道各社,さらには「(自称)技術評論家」などからは,「安全とは何か」という「安全」や「安全性」を論じるときに必要不可欠かつ一番本質的な部分が説明されたことがないのである.もっとも,私の知る限り,ではあるが.
そこで,ギヤジローの鉄道館では「安全について考える」という特集を連載することにした.これは科学的,工学的な観点から見た「安全」(これを「工学的安全性」という)について紹介し,論じよう,というものである.これによって,「安全とは何か」,「安全性をどう考えればよいのか」ということを社会に発信し,以て(正しい意味での)「安全な社会」,あるいは「安全な鉄道」を築くキッカケになり,怪しげな「安全」を唱える「(自称)技術評論家」などを嘲笑,駆逐することができれば,と僭越ながら思う次第である.インターネットの世界では誰でも社会に向けて発信できるし,受信もできる.ガセネタから真実までいろいろな情報が飛び交っているのがネットの世界である(まぁ,TVでも新聞でもラジオでもそれはおなじだけれど).そこで求められるのが情報リテラシー(情報の取捨選択)である.この特集を御覧の皆様にとって,この記事の信頼度がどれほどのものであるかを判断する材料を提供しないと,この特集は成り立たないと思う.そこで本名こそ載せないまでも,私のバックボーンをご紹介しておく.
簡単に言えば私(ギヤジロー)は機械系の人間である.そのためこの特集は論文口調(文調?)になっている.ちょっと偉そうな口調&読みにくいかもしれませんが,ご容赦ください.なお,学術・技術等に関するプロフィールは↓の通りです.
ちなみに一般の方には「技術士」は馴染みのない資格だと思います.「技術士」がどういう資格であるかはWikipediaのこちらの記事や(社)日本技術士会HPなどを参考にしてください.ただ,イマイチ日本の「技術士」というものが「プロの技術者」なのか「技術コンサルタントの中のすごい人」なのかの位置づけが確定していない面があるのが難点ですが・・・(私自身は前者であるほうがいいと思うんですが).
この特集では全般にわたって以下の参考文献を使用しています.
また,著書などを参考にはしないまでも,(有)佐藤R&Dの佐藤国仁氏(技術士:機械部門・総合技術監理部門)の講義を大いに参考にしています.
この文章も結構長くなってきました.ここから本題をはじめると長々となってしまうので,本題は次にまわしたいと思います.